芥川龍之介「邪宗門」他

羅生門・鼻 (新潮文庫)

羅生門・鼻 (新潮文庫)

地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)

地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)

芥川作品は新潮文庫がとっつきやすく、表紙もかっこよかったので新潮で揃えていたが成立年代がばらばらでわかりづらいのが難点。
地獄変」の続きが「邪宗門」であることを知らなかったのでこれは連続して載せてほしかった。
未完作である「邪宗門」、異色作。不可思議な力で斬りかかる者を吹っ飛ばすとか後半はほとんどファンタジーである。ゴールデン劇場で不意打ちに映画版・陰陽師のアクションシーンを観てしまったくらいの新鮮さだった(あのありえなさは好き)。
そしてあまりにもいいところで終わりすぎだよ!(対決して、法師の秘密が暴かれて、もうすぐ終わりそうな気もするんだけど……)
連載していた新聞の「続きは単行本で書き下ろし」策だったのか、芥川本人が連載中断筆したのか知りたい。
地獄変」は何も言うことのない大傑作。読んだ直後はどうにも後味の悪さがあったが、距離がとれてくると心の中で滋味が出てきて、長く自分の中に残っているだろう作品になった。