銀林みのる「鉄塔 武蔵野線」

鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)

鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)

夏休みも半ばを過ぎたある日のこと。5年生の見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。その名は<武蔵野線75-1>。新発見に胸を躍らせた見晴は、2歳下のアキラを誘い、武蔵野線を遡る。「オレたちは鉄塔を辿っていけば、絶対に秘密の原子力発電所まで行けるんだ」――未知の世界を探検する子供心のときめきを見事に描き出した“鉄塔小説”。
(※amazon.co.jpによるあらすじ)

ものすごく貴重な一冊。鉄塔は美しいし(私はこの小説を読んでいる間、二回鉄塔の写真を撮りに出かけた*1)、「結界」や「ひがしでん」という、彼らにしかわからない言葉を生み出して楽しんでしまえることや、「四つの境界石(土地の所有を示す為のもの)を踏みながら一周する」なんて、大人にとっては何の意味もない儀式や、小学生時代に大切にしていたもの・ことはそんな風だったなあ……とあの頃の空気を一気に思い出してしまった。


マニアじゃなかろうと、鉄塔がなんとなく気になる人には超おすすめ。
鉄塔には男鉄塔女鉄塔がある――なんて、見かたが少し分かるようになってしまう。


この物語の結末については少し思うところがあるので、あらためてエントリ書くつもりでいます。

*1:普段からカメラを使い慣れていないので良い写真は撮れませんでした